「私たちは本来“主人”の手の中でしか生きられない存在だから、人工精霊だけで遠出するのって結構難しいのよ」
だから仲がよくても一緒に遊びに行けないことが多いの、とピスケスは続ける。
「まぁ、比較的まだ“幼い”きーちゃんやお前ならその辺りが分からないのは仕方ないのだけど」
ピスケスがそう言うと、露夏は幼いって…と嫌そうな顔をする。
「おれはきーちゃんほどコドモじゃないんだけど」
「まだ10年も生きてないのに?」
「あ、あんまり言うなよ」
露夏とピスケスがそう言い合う様子を、周りの仲間たちは静かに見守る。
キヲンもその様子を2人の方を見ながら歩いていたが、前をよく見ていなかったために目の前を横切っていた人物にぶつかった。
「あうっ」
キヲンはぶつかった拍子に尻もちをついてしまった。
「きーちゃん!」
人工精霊たちと共に歩いていた寧依は思わず声を上げてキヲンに駆け寄る。
キヲンはう〜と唸る。