「…お前は、ピスケスがどこからか持ってきた人工精霊の“核”から生み出された存在なんだよな」
ナツィは不意にこぼす。
キヲンはポカンとして目をぱちくりさせた。
「それがどうかしたの?」
「いや、元はあの女のモノではなかったんだよなって」
ナツィがそう言うと、キヲンは少し俯く。
「お前は自分を作った“親”に興味ないのか?」
今はあの女にベッタリだけど…とナツィは言いかけて、不意に止める。
いつの間にかキヲンはナツィに抱きつくのをやめていた。
「ボクの“親”は寧依だもん」
キヲンは震える声で呟く。
「今のボクは寧依のものなの‼︎」
キヲンはそう叫ぶと、バッとナツィたちの元から走り出した。
「ちょっ、待てって」
ナツィは引き止めようとするがキヲンは気にせず駆けていく。
すぐにキヲンの姿は人混みの中に消えてしまった。
「…」
ナツィは思わず沈黙する。
その様子を見ていたかすみと露夏も呆然としていた。