一方ナツィたちから離れていったキヲンは、商業施設の1階をあてもなくさまよっていた。
「…ボクの“親”は寧依なの」
他の、誰でもないのにとキヲンは呟く。
「どうしてナツィはあんなこと…」
キヲンが足元を見ながらふらふら歩いていると、前を歩いていた人物にぶつかってしまった。
「あうっ」
ご、ごめ…とキヲンは咄嗟に謝ろうとしたが、相手の顔を見てあれっ?と驚いた。
「キミは…」
キヲンがぶつかった人物は、少し前に街中でぶつかったフードを被った人物だった。
相手はキヲンの姿を見て目を丸くした。
「お前…硫(リウ)か?」
「ふえっ?」
相手の言葉にキヲンは首を傾げる。
「ボクりうじゃないよ〜」
キヲンだよ〜とキヲンはじたばたする。
しかし相手はいーや!と語気を強める。