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Modern ARTists:魔法少女彩能媛 その⑥

「ヒトエぇっ!」
ヒトエに向けて、カミラが爪を突き刺す。しかし、その姿は直撃と同時に掻き消える。
「ヒトエ……じゃない……?」
カミラの動きが硬直したその瞬間、姿を消していたヒトエが、背後から心臓を貫いた。
「あうっ……⁉」
カミラは刃から抜け出そうと藻掻くが、ヒトエはもう1本の剣を角度を付けてさらに突き刺す。
「にゃああああっ、ヒトエぇ、ヒトエぇ……!」
悲鳴のような声をあげるカミラは、その声色に反して喜色満面の表情で振り向こうとしていた。
不意に、周囲を覆っていた吹雪の結界が消滅する。
「チヒロちゃん!」
地面に座り込んでいたチヒロに、桜色の和装の魔法少女が駆け寄る。
(あっ知らない人)
ヒトエの意識が一瞬そちらに向かう。
「あっ新入りの子? チヒロちゃんのこと助けてくれてありがとうね?」
「えっあっはい。さっきは幻影での囮、ありがとうございます」
「どういたしましてー。私はエリカ。小金井エリカだよ」
「亀戸ヒトエですどうも」
「とにかく、そいつに早くとどめを!」
「は、はい!」
ヒトエがカミラに視線を戻す。
「あ、ヒトエぇ。やっとこっちむいたぁ」
カミラは身体を反らして、ヒトエの顔を覗き込んでいた。ヒトエは咄嗟に身じろぎしようとして、違和感に気付いた。彼女の手首と双剣に、何か細長いものが巻き付いており、離れなくなっているのだ。
「わたしのしっぽだよぉ?」
「な、なんで……?」

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  • エリカ先輩は恋川春町
  • カミラちゃん何かエグいことになってない?
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