変身を解いてから、ヒトエはエリカに尋ねた。
「あの、エリカさん。さっきの人、何だったんですか? あのカミラって怪人と親しそうでしたけど……まるで母親みたいな……」
「うん……あの人は“ハイ・ジャック”って人」
「ハイジャック?」
「そう名乗ってたの。怪人たちの親玉、って言えば良いのかな」
「へぇ……」
「っていうか、怪人たちについて、結構何も知らないね? ずっと前から世間の話題のど真ん中だったのに」
「ニュースとか見ないタイプでして……」
「まぁ、中学生なんてそんなもんだよねぇ。1年?」
「はい」
「私とチヒロちゃんは3年なんだぁ。よろしくね?」
エリカの差し出した右手を、ヒトエは両手で握り返した。
「えっあっはい。よろしくお願いします……」
「あと一人、2年の子がいるんだけど……来てないなぁ……」
エリカは周囲を見回してから、ヒトエに視線を戻した。
「またいる時に紹介するね?」
「はい」
「それじゃあ教室戻ろっか。もう帰りの時間でしょ?」
エリカに手招きされ、3人は校舎の中へと引き返していった。