「…ねぇ」
倉庫街の奥へとずんずん進んでいく琅に対し、キヲンは引きずられつつも話しかける。
「あの子、キミの仲間じゃないの?」
キヲンがそう聞くと、琅は仲間ってか“きょうだい”だなと答える。
「お前のことは硫じゃないとか言ってたが、気にすることはないさ」
琅の言葉にキヲンはボク違うんだけど…と小声で溢す。
しかしその呟きは届かなかったのか、琅はそのまま歩き続けた。
「…あのさ!」
キヲンが突然声を上げて無理やり立ち止まったので、琅はん?と振り向く。
「どうした?」
「あの、さっきから気になってたんだけど」
どこへ行こうとしてるの⁇とキヲンは不安げに尋ねる。
それに対し琅は、そりゃあ…と笑った。
「みんなや“マスター”のいる、おれたちの拠点さ」
それがどうかしたのか?と琅は首を傾げる。
キヲンはあのね、と気まずそうに言う。
「ボク、そろそろ保護者の所に帰らなくちゃいけないの」
一緒にこの街に遊びに来たみんなも、ボクが急にいなくなって心配しているだろうし…とキヲンは続ける。