「よかった、寧依が無事で」
キヲンの笑顔を見て、寧依は少し呆れたような顔をする。
しかしおいお前という声で2人は顔を上げる。
2人から数メートル離れた所では、先程まで寧依に踏みつけられていた琅が立ち上がっていた。
「硫から…硫から離れろ!」
琅は魔力式銃を構えながらそう叫ぶ。
寧依はキヲンを庇うように立とうとするが、その前にキヲンが琅の前に立ち塞がった。
「硫、そこをどけ」
ソイツはお前をたぶらかしてるんだぞ、と琅は低い声で言う。
だがキヲンはやだ!と首を横に振る。
「寧依は、寧依はボクの“家族”だもん‼︎」
「そんな訳ない!」
琅は強く言い返す。
「お前の“家族”は、おれたちだけだ‼︎」
そんな奴、“家族”だなんて言わない!と琅は声を上げる。
しかしキヲンは、そんなことないもん!と両腕を広げる。
「寧依は、今のボクを作ってくれたんだ」
何も分からないボクに色々なものを教えてくれた、見せてくれたとキヲンは叫ぶ。