(気が合わないなぁ)
虹汰たち1年生は初めて会った日からそう思った
"あの先生"はとても厳しかった
いつもピリピリしている
人を褒めることなどほとんどない
たまに作る笑顔は口しか笑ってない
努力しているのに簡単に認めてくれない
冷酷無慈悲の魔物そう思っていた
あの時までは…
ある日、"あの先生"がお手本を見せた
"あの先生"が放った1球は
ネットの向こう側に迷いなく吸い込まれていく
虹汰たち1年生は
少しでもあの姿に近づきたい
気付けばそう思っていた
次の日の練習
虹汰はラケットを素早く引いて打ってみる
パコン!
"あの先生"ほどではないがボールは
"あの先生"のいるネットの向こう側に
ヒューッと吸い込まれていく
なかなかいいところにストンと落ちたなぁ
虹汰はそう思った
おめ、うまぐなったな
ずっといってほしかった言葉が聞こえた
見た目に合わない小さい声で
虹汰がその声のほうをみると
少しだけ笑う"あの先生"がいた
終
不定期投稿① ずっといってほしかった言葉