「何、なんか不都合な事でもある?」
「いや、そうでもないんだけどさ」
「えー、じゃーなんでそんな顔するのさ~」
おーいーとネロは師郎をつつく。
師郎はちょっとよせってとショッピングモールの通路の真ん中へ後ずさった。
その時だった。
通路の真ん中に出た師郎と、通路を走っていた誰かがぶつかったのだ。
「⁈」
師郎は倒れることがなかったが、彼にぶつかった小柄な少年はその場に尻もちをついてしまった。
「師郎!」
大丈夫か?と耀平が声を上げながら近付き、ネロや黎、わたしも彼に駆け寄る。
師郎はあー平気平気と頭をかくが、師郎とぶつかった少年はへたり込んだまま何かにおびえたように震えていた。
それに気付いた師郎はあ、お前…と近寄ろうとする。
しかし少年は師郎の方を見ると、あ、わわ…と後ずさった。
「だ、大丈夫か、おま」
「わーっ‼」
心配する師郎をよそに、少年は急に頭を抱えて叫び出した。
わたし達は思わず驚いて動きを止める。