0

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 23.キリン ④

周囲にいるショッピングモールの客達も、つい少年の方に目を向ける。
少年は暫しの間震えていたが、やがて自身が周りの目を集めていることに気付くとハッとしたような顔をした。
そして彼は慌てて立ち上がると、わたし達の横を走り去っていった。
「…」
わたし達は少年が去っていった方を黙って見る。
「なんだったんだ」
アイツと耀平がこぼすと、師郎はだなと答える。
だがふと少年が先程座り込んでいた場所に目をやった時、師郎は何かに気付いたような顔をした。
「師郎?」
黎が師郎の方を見て首を傾げると、師郎はそれに答えずさっきの少年がいた場所に近付きしゃがみこむ。
そこには”ZIRCON”のロゴの入った濃いピンク色のキーホルダーが落ちていた。
「これ…」
あの少年のか?と師郎はそれをつまみあげながら呟く。
「そうなんじゃない?」
「確かに」
ネロと耀平はそれぞれそううなずく。
師郎は暫くキーホルダーを眺めていたが、やがてすっくと立ちあがった。
「なぁネロ、耀平」
不意に2人の名を呼んだので、ネロと耀平は目をぱちくりさせる。
「ちょっと、頼めるか?」
師郎はそういて振り向いた。

  • ハブ ア ウィル ―異能力者たち―
レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。