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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 23.キリン ⑤

師郎にぶつかった少年が立ち去ってから暫く。
わたし達は異能力を発動させたネクロマンサーとコマイヌを先頭に、ショッピングモールの通路を歩いていた。
「ねぇ師郎」
わたしがふと前を歩く師郎に声をかけると、彼は、ん?と歩きながら振り向く。
「…どうしてさっきのあの子を追いかけようと思ったの?」
わたしが聞くと師郎は、そりゃああの少年が気になったからだよと答える。
「気になった?」
わたしが聞き返すと、いやだってさと再度前を向く。
「あの少年…ほんの少しだが異能力に匂いがしたんだ」
その言葉にわたしは、え、じゃあ…と言いかける。
すると師郎は、いやと遮った。
「この前のメドゥーサの時とは違う」
俺はネクロみたいに知っている異能力を気配で判別することはできないし、と師郎は続ける。
「別にあの少年は見ず知らずの赤の他人だ」
師郎はそう言いつつ上着のポケットに両手を突っ込んだ。
「じゃ、じゃあ何であの子を追いかけようと思ったの?」
わたしがそう尋ねつつ師郎の右隣に行くと、師郎はさぁ?と言って立ち止まる。

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