「彼女みたいに薄れているような奴じゃなかったわ」
むしろ顕われたり消えたりしているような感じとでも言うのかしら?と穂積は続ける。
「とにかく変な感じね」
穂積がそう言うと、隣に立つ雪葉はうんうんとうなずいた。
わたしがふーんと答えた所で、ネロがあ、と呟く。
「師郎」
ネロが目を向ける方を見ると、駄菓子屋の出入口から師郎とあの少年が出てきていた。
「おかえり~」
ネロがそう言うと、師郎はただいまと笑う。
「で、何買ってきたの?」
「いつものスルメ」
「渋いねぇ」
ネロと師郎が何気ない会話をしていると、狭い道路の反対側で話していた耀平と黎がこちらへとやって来た。
「師郎またスルメ買ったのか」
渋いな~と耀平が言いながら師郎の陰にいる少年に目をやると、少年はすぐに彼から目を逸らす。