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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 23.キリン ⑯

「どういうことって…多分、異能力が発現しそうなんだろ」
だからああいう事を言ってるんだろうな、と耀平は小声で答えた。
琳くんはその様子を不思議そうに見ていたが、ここで師郎が彼の気を引くように話しかけた。
「…お前さん、”色んな感情がなだれ込んでくる”から逃げるように走ってたのか?」
急な質問に、琳くんはふぇっと少し驚く。
「あー、あー…まぁ、そうなの、かな?」
曖昧な返事に師郎は怪訝そうな顔をした。
「本当にそれだけか?」
「えっ」
琳くんはつい顔を上げる。
「何かそれだけじゃないような気がするな~」
師郎がそう琳くんの目を見ると、彼はうぅぅぅ…とおびえたような顔をした。
「ま、話してご覧よ琳」
変な話でも俺達は受け入れるからさ、師郎は腕を組んで笑いかけた。
琳くんは暫くうつむいていたが、やがて、…みんなと彼は呟いた。
「イベントスペースにいる人達みんな、姉ちゃんの事ばかり考えているんだ」
その様子を見るわたし達5人は思わずポカンとする。

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