「さぁ、まだ見ぬ異能力者さん、わらわにその記憶を渡して下さる?」
しかしまだ異能力を発現していない琳くんは、困惑したようにど、どういう事…?と後ずさる。
ヴァンピレスはにやにやしながら続けた。
「…貴方、『他人の感情がなだれ込んでくる』のが嫌なんでしょう?」
わらわに”記憶”を明け渡してしまえば、それもすっかりなくなるわとヴァンピレスは言う。
琳くんはえ、と驚く。
「そうすれば楽になれる…だから、わらわと共にいらっしゃい」
そう言って琳くんに近付くヴァンピレスを見て、ダメだ琳‼と思わず師郎は階段の柵から身を乗り出して叫んだ。
その言葉に琳くんはわたし達の方を見上げる。
「その女について行っちゃダメだ!」
お前さん何もかも失うぞ‼と師郎は続ける。
琳くんは再度ヴァンピレスの方を見る。
ヴァンピレスは琳くんを促すように彼の目を見ていた。
「ぼくは…」
琳くんがそう呟きかけた時、不意に彼はうっ、とうめき頭を抱えだした。
わたし達は驚いて息をのむ。