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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 23.キリン ㉕

「これってまさか」
わたしがそう呟くと、耀平はポツリと発現、だとこぼした。
その一方、頭を抱えて苦しむヴァンピレスは少し焦ったような顔をした。
「まさか貴方、顕われようとしているの⁈」
ふざけないでよ…!とヴァンピレスは鞭を振り上げる。
わたしは危ない!と思い目を見開くが、わたしの側で師郎が咄嗟にリュックサックを下ろしてそれを投げた。
黒いリュックサックはそのままヴァンピレスに向かって飛んでいき、それにぶち当たる。
その瞬間、ヴァンピレスの姿は霧散するように消えていった。
「琳‼」
ヴァンピレスの姿…分身が消えた所で、師郎は慌てて階段を駆け下り琳くんに近寄る。
琳くんはゆっくり顔を上げた。
「師郎、さん…?」
彼は不思議そうな顔をする。
その瞳は、薄黄緑色だった。

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