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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 23.キリン ㉗

そうして、わたし達はネロの元へ戻った。
わたし達が休憩スペースに戻るとそこにはネロの姿しかなく、ヴァンピレスの姿は影も形もなかった。
ネロに尋ねると、彼女は琳くんの元に向かわせていた分身が消えたため、今回は諦めたようだったという。
「まぁでも良かったんじゃね?」
琳は無事だったんだし、と耀平はショッピングモールの下りエスカレーターに乗りながら上段に乗るわたしや黎、師郎の方を見上げる。
「だな」
あの少年が無事お姉さんの元へ行けたのならそれで十分だ、と師郎はうなずく。
その隣で黎も静かにうなずいた。
…とここで、わたしの頭にふと疑問が湧き上がった。
「…そういえば、師郎は何で琳くんに話を聞きに行こうって思ったの?」
やっぱり異能力の気配がしたから?とわたしが尋ねると、1つ下の段に乗る師郎がそうだなぁと振り向く。
「そういうのもあるが…やっぱり、ああいう年下の事は放っとけないからな」
自然と身体が動くんだよ、と師郎は笑う。

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