「確かに、師郎は年下の世話焼くの好きだよなぁ」
おれやネロだけじゃなく、妹の結香吏の同級生の世話も焼いてるし、と耀平もにやにやする。
師郎は、年下だけじゃなく同い年の黎の世話も焼いてるがな!とエスカレーターの手すりに頬杖をついた。
そうしてわたし達が談笑していると、いつの間にかわたし達が乗るエスカレーターの段は1階まで辿り着いていた。
エスカレーターの降り口の目の前のイベントスペースでは、ZIRCONのフリーライブが催されており、多くの人々が集まっていた。
「お、やってるやってる」
ネロがそう呟いていると、わたしは人だかりの端の方に見覚えのある少年を見つけた。
「あ、琳くん」
わたしの言葉に反応して、琳くんはこちらを振り向き笑う。
「楽しんでるかい?」
師郎が歩み寄りながらそう聞くと、琳くんはもちろんですとうなずいた。