「トゥイーディア、これはお前のためでもあるんだ」
どうか許してくれ、とキャスは槍をキヲンに突き刺そうと槍を持つ腕を上げる。
「や、やめてくれ、やめてくれキャス」
コイツは本当になんでもないんだ、ただの…とトゥイーディアはキヲンに覆い被さる。
だがキャスは気にせず槍を振り下ろそうとした。
トゥイーディアは思わず目をつぶってキャスから顔を逸らすが、何も起こらない。
その代わり、甲高い金属音と誰かが倒れる音が聞こえた。
「…?」
トゥイーディアが恐る恐る顔を上げると、キャスが黒髪黒目でゴスファッションを身に纏い、背に黒い蝙蝠のような翼を生やしたコドモが、地面に倒れているキャスに覆い被さるようにして、蝶が象られた黒鉄色の大鎌をキャスの首に向けている。
そしてキャスは自らが持つ槍で大鎌を防いでいた。
「…アンタは」
「ナ、ツィ?」
トゥイーディアが言う前に、キヲンが声を上げる。
黒髪のコドモはキヲンたちの方を気にせず、テメェ、なにしてやがると呟く。
その大鎌を持つ手にはキャスの槍を押し切らんばかりに力を入れていた。