「やぁ君、大丈夫だったかい?」
レヴェリテルムを収納し、サルペンタリウスは少女に近付いて行った。
「名前は? ここで何してたの? お父さんかお母さんはいる?」
「次々連続で質問するな、相手チビッ子だぞ」
そう指摘するカズアリウスの腕の中で、少女は首を傾げ、数秒考え込んでから口を開いた。
「ぇク……ミ……?」
「クミちゃん?」
「ん!」
「そうかそうか、クミちゃんか。お父さんやお母さんはどこかな? 1人は危ないよ?」
「…………?」
クミと名乗った少女は、要領を得ないような表情で首を傾げている。
「……リーダー、この子危機感が欠けてます!」
「本人の目の前で言うな大馬鹿野郎」
サルペンタリウスの頭頂部に、カズアリウスのチョップが叩き込まれた。
「いてて……それじゃ、クミちゃん。君のお家はどこかな? お兄さんたちが送っていってあげよう」
「ん……あっち」
クミが路地の向こうを指差した。
「あっちだね? 分かった、それじゃ、行こうか」
サルペンタリウスが、クミを抱き上げる。
「んー。あっちー」
クミの指差す方向に従って、3人は路地を抜けて歩き出した。