「え、そ、そんな!良いですよ、ちょっと切れただけですし…!」 慌てて断ると、彼女はかぶりをふった。 「いえ、ああいう奴らは総じて武器の手入れが悪いですから。破傷風が怖いんですよ。お客様も、傷自体は浅そうですが傷周りが汚れてますし…」 破傷風は確かに怖い。ここは、ご厚意に甘えて治療してもらうことにしよう。 「わかりました、ありがとうございます…」 電車は速度をおとすことなく進んでいった。