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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 23.オウリュウ ⑥

霞さんと出会ってから数十分。
わたし達は駄菓子屋でお菓子を買ったのち、早速いつものショッピングモールへ向かった。
そして3階にあるゲームセンターに行く事にした。
「あ、あのぬいぐるみかわいい」
ゲームセンター内の何とも言えない動物の形をしたぬいぐるみのクレーンゲームに目を向けたネロは、そちらへと走っていく。
「ネロ、お小遣いは足りてるのか?」
「こないだ今月分もらったから大丈夫だよ~」
ネロに続いてクレーンゲームに近付いていった耀平とそんな会話を交わしながら、ネロはクレーンゲームの中のぬいぐるみを眺めていた。
「あのネロって子、耀平くんと仲良いね」
霞さんがそう呟くと、師郎はまぁそうだなと腕を組む。
「ネロは耀平が拾ったようなモンだし」
ネロがアイツに懐くのは当然と言えば当然だわな、と師郎は続ける。
霞さんはふーんとうなずきつつ、黎の方を見やる。
黎は師郎の左隣に立っているが、霞さんの視線に気付いて慌てて目を逸らした。
霞さんはふふふと笑う。
「…君は、引っ込み思案なんだね」
「⁈」
霞さんの急な発言に、黎は驚いて飛び跳ねる。
霞さんはまた笑った。

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