「この子はどうして耀平くんたちと一緒にいるようになったの?」
霞さんの質問に、師郎はあぁそれは…と答える。
「黎はネロと耀平が拾ったようなものでね」
夏の雨の日に、ネロが傘貸してやったのが縁だそうな、と師郎は腕を組む。
へーと霞さんはうなずいた。
「何だか不思議だね~」
「そうなんだよ」
俺達は偶然が重なって一緒に行動するようになったんだから、と師郎は笑った。
「…僕もそうだよ」
少しの沈黙ののち不意に霞さんは呟いたので、わたし達は彼の方に目を向ける。
「僕だって、長らく独りだったんだから」
霞さんのどこか寂しげな呟きに、わたしと師郎は目をぱちくりさせる。
それに気付いた霞さんは、あーごめんごめんこっちの話、と手を振って微笑む。
わたしは何の事だろうと思っていたが、師郎はふと側にいる黎がゲームセンターの外に目を向けている事に気付いた。
「黎、どうした?」
師郎がそう聞くと、黎は彼の方を見て横に首を振った。
師郎はそうかと答えると、ネロと耀平が攻略に四苦八苦しているクレーンゲームの方に目を向けた。