ネロと耀平が取ろうとしたクレーンゲームのぬいぐるみは、霞さんの手伝いもあって見事に取る事ができた。
とりあえずネロがぬいぐるみをゲットした事で、わたし達はゲームセンターをあとにすることにした。
そしてわたし達は寿々谷公園へ向かう。
「わー昔と変わってないね~」
懐かし~と霞さんは公園に辿り着いて早々に呟く。
「まぁ確かにそんな変わんねーよな」
ここは地方の街だし、と耀平は赤いウィンドブレーカーのポケットに両手を突っ込みながら言う。
霞さんはだよね~と笑った。
そんなこんなで、わたし達は公園内を周った。
遊具が設置されているエリアや噴水があるエリア、だだっ広い芝生が広がるエリアに小さい子ども向けの浅いプールがあるエリア…とあちこちを巡りながら、わたし達はずっと話し込んでいた。
しかしそんな中でも、黎はどこか霞さんから見えない所に隠れようとしている。
それに気付く度に霞さんは黎に話しかけていたが、黎自身はその都度そっぽを向いていた。
わたしはその事が気になっていたが、ネロ、耀平、師郎にとっては気になる事でもないらしく、あまり意識していないようだった。