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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 23.オウリュウ ⑩

「あ、えーと…黎が師郎の陰に隠れているのは何でかって話をしてたんです」
わたしがそう答えると、霞さんはそっか~と言いながら師郎の隣に目を向ける。
黎はパーカーのフードを目深に被って顔を隠していた。
「…」
霞さんは暫く笑みをたたえながら黎の顔を静かに見ていたが、ふと師郎がなぁと口を開いた。
「お前さんは何で黎にそんなに興味持つんだ?」
その質問に、え、と霞さんは驚く。
「もしかして、迷惑だった?」
「いや、迷惑って程でもないんだが…」
ちょっと気になってな、と師郎は苦笑した。
霞さんはふーんとうなずき、そうだねぇと呟く。
「なんだか彼を見ていると、昔の自分をみているみたいな気分になってくるんだよ」
霞さんが不意に言い出したので、わたしは目をぱちくりさせる。
霞さんは続けた。
「昔の僕も、あまり慣れない人の前ではビビってることが多かったからさ」
あんまり友達がいなくて…と霞さんは頭をかく。
「でも耀平くんに出会って、少し変われたんだ」
霞さんはふふと笑う。

  • ハブ ア ウィル ―異能力者たち―
  • 昨日投稿しようと思ったけどしそびれちゃった
  • という訳で昨日の分
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