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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 23.オウリュウ ⑫

そういう訳で、わたし達は皆で霞さんの事を駅まで送っていく事にした。
寿々谷公園から寿々谷駅までは少し離れているので、わたし達はその道中の細い道でずっと話しながら歩いていく。
そんな中でも、黎は何かを気にしているような素振りを見せていた。
「へー、耀平くん、中学校では軟式テニス部に所属してるんだ~」
「ま、適当にやってるだけだよ」
霞さんと耀平が楽しそうに話し、ネロと師郎はその様子を暖かく見守っている。
しかし黎は周囲を気にかけているようで、わたしの意識はそちらへ向かっていた。
一体何を気にしているのだろうとわたしが気にしている中、ふと黎が足を止める。
わたし達も思わず足を止めた。
「黎?」
わたしがつい立ち止まって尋ねると、黎は後ろを見て、あれ…と呟く。
「あれ?」
一体な…とわたしが言いかけた時、不意にうふふふふふと高笑いがわたし達の侵攻方向から聞こえた。
わたし達がそちらを見ると、そこには白いミニワンピースにツインテール、そして赤黒く輝く瞳を持った少女が立っていた。
「ヴァンピレス‼」
なんで出てきた⁈とネロが怒号を上げる。

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