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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 23.オウリュウ ⑯

「僕が彼女の視界を封じている内に、早く逃げて!」
霞さんの言葉に、わたしはまさかと呟く。
霞さんはそのまま続ける。
「僕の異能力は”一定範囲内の視界を霞ませる”能力だから、下手に移動すればあのヴァンピレスって子の視界を封じられなくなる!」
だから、僕を置いて逃げて!と霞さんは叫んだ。
「そんな…」
わたしが困惑する中、耀平は置いてけるかよ!と声を上げる。
「そんなのできないよ‼」
耀平がそう抵抗すると、霞さんのごめん耀平くん、という声が聞こえた。
「今日は会えて嬉しかった」
でも君や、君達を、誰かに傷つけさせるわけにはいかないと霞さんは続ける。
「だから逃げて!」
霞さんの言葉に耀平は押し黙る。
しかしそれに対し、そんなのダメと黎の声が聞こえた。
「お前が傷ついたら、耀平もきっと傷つく」
自分を犠牲にしないで欲しい、と黎はこぼす。
「でも、それじゃ…」
「大丈夫、自分が何とかする」
だから協力して、と黎は霞さんに声をかける。
霞さんは暫く考え込むように沈黙していたが、やがて…うん、分かったと言った。

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  • 今週でこのエピソードも多分終わり
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