午後3時半、午後の暖かな光が燦々と窓から降り注ぐころ。
要塞都市・パッセリフォルムズの中心部にある高層建造物——防衛組織・ドムス総本部の、アヴェスたちの居住フロアのラウンジにあるエレベーターの扉が開く。エレベーターの扉からは、3人のアヴェス……クリス、トログ、そしてアカが降りてきていた。
「あ、来たきた」
ラウンジに備え付けられた椅子に座って他愛もない話をしていた2人のアヴェスが、3人に気付くと椅子から立ち上がった。
「待ってたよー」
「クリスたち〜」と2人のうちの一方、リボンのついた黒と桃色のジャケットに白いシャツ、そして桃色のバルーンパンツのアヴェスは飛び跳ねながら3人に近付く。それを見て「すまんなロディ、モザも」とクリスは返す。
「普段待ち合わせに遅刻ばかりするおれらより、クリスたちの方が遅刻するとは思わなかったぞ?」
椅子に座っていた2人のうちのもう片方……若草色の開襟シャツに暗灰色と黄緑色のストライプ柄半ズボンを身につけ、暗灰色のジャケットを腰に巻いた浅黒い肌のアヴェスは、「どうしたんだ?」と腰に手を当てつつクリスの後ろに立つトログとアカの顔を覗き込む。トログは「ごめんってばモザ〜」と手を合わせて申し訳なさそうにしたが、アカは真顔のままなにも言わない。
「ボクがアカとお喋りしに行ってたら約束忘れそうになって〜」
「もう、トログはドジっ子だなぁ」
「モザだってやらかしたりするじゃーん」
トログと浅黒い肌のアヴェスは暫しそう言葉を交わしていたが、やがてクリスが「トログ、モザ」と声をかける。
「さっさと自主練始めるぞ」
クリスはそう言うとまたエレベーターの方へ向かう。それを見て、アカたちは荷物を持って彼のあとに続いた。