防衛組織・ドムス総本部の中層階からは、要塞都市を囲む壁に向かって放射状に“橋”が伸びている。
要塞都市の壁の上部には有事の際に都市を守る天蓋を展開するための回路が張り巡らされているのだが、それだけでなくドムス本部から有事の際に出撃していくアヴェスたちが天蓋の外に出るための出入り口も存在している。そのため人類の敵・アリエヌスが襲来してきた際は、その“橋”を経由してアヴェスたちは天蓋の上へ向かうのだ。
もちろん平常時も許可を得られれば壁の上に出ることは可能なので、アヴェスたちは訓練などを目的に“橋”を渡っていくことは多い。そういう訳で、アカたち5人は各々の武器・レヴェリテルムの入ったケースを持ちつつ“橋”を渡って壁の中へと向かっていた。
「ねぇねぇ、今度の休日、みんなで街を散歩しようよ〜」
“橋”の上を歩きつつ、黒と桃色のジャケットを着たアヴェス、ロディが後ろを歩く仲間たちの方を振り向いて言い出す。それに対し、空色の地に黒いストライプの入ったジャケット姿のアヴェス、クリスが「どうしたんだ急に」と聞く。
するとロディは「えー」と笑った。
「だってアカはまだここの要塞都市のことよく知らないだろうし」
「ロディたちで案内してあげようよ!」とロディは飛び跳ねる。クリスは「お前なぁ……」と呆れたような顔をするが、ベレー帽のアヴェスことトログは「それいい‼︎」と手を叩く。
「ボクたち最近そんなに遊んでなかったし、これをキッカケにカテルヴァに入ったばかりのアカと仲良くなりたい!」
「ロディあったまいい〜!」とトログはロディに近付く。ロディは「えへへ〜」と照れ臭そうにした。