「ねぇねぇ、クリスとモザはどう?」
「みんなで遊びに行こうよ!」と提案するロディを見て、浅黒い肌のアヴェスことモザは「そうだな!」と頷く。
「おれたちアカのことそんなに知らないし、せっかくなら仲良くなりたい!」
モザの言葉にロディは「でしょでしょ〜?」と明るく続ける。しかしクリスは「どうだかな」と不意に呟く。
トログ、モザ、ロディの3人は思わず不思議そうな顔をした。
「お前ら、アカのことそっちのけにしてるだろ」
クリスはそう言って自身の後ろにいる橙色の詰襟に白い和袖の外套を羽織ったアヴェス、アカの方を見やる。アカはトログたちの方を気にせず“橋”の欄干から見える風景に目をやっていた。
「……」
モザとロディは思わず沈黙し、トログは「アカ」と仲間に近寄って話しかける。
「今度みんなで遊びに行こうよ」
「この街には面白いものがいっぱいあるんだ」とトログは笑いかけるが、アカは「そんなどうでもいい」と帽子深く被った。トログは「どうして?」と首を傾げる。
「アカは世界最大の要塞都市・パッセリフォルムズには興味ないの⁇」
「別に」
トログの質問に、アカは短く答える。
「自分のやることはこの街をアリエヌスから守ることだけだから」
「それに関係ないことは、興味ない」とアカは淡々と答える。その言葉にトログは「それじゃ寂しくない?」と尋ねる。
「確かにボクたちは要塞都市を守るために生み出され、そのために戦ってる、でも……」
「戦うだけの人生じゃ、つまんないよ」とトログは俯く。トログのその様子にアカはちらと目を向けたが、気にせずトログは続ける。