よく晴れた午後、小さな喫茶店にて。
がらんとしたひと気のない店内で、店主の老人がカウンターの向こうで新聞を読んでいる。
その傍ではジャンパースカートにエプロンをつけたコドモが、イスに座ってぼーっとしている。
暫くは店主が新聞のページをめくる音だけが時々聞こえるだけで、店内には静かな時間が流れていた。
しかし不意にカランカランと店の扉の鈴が鳴り、店内にいる2人は扉の方に目を向ける。
開いた扉からは帽子を被った背の高い老人と、暖かい気候なのに黒い外套を着てその頭巾を目深に被った人物が入ってきた。
「おや、會津さん」
いらっしゃい、と店主が新聞を畳みながら背の高い老人に声をかける。
會津と呼ばれた老人はお久しぶりですと返した。
「今日はその子も連れてきたんですか」
店主の質問に會津、と呼ばれた老人はえぇそうなんですよと傍の人物に目をやる。
「たまには外へ連れ出してやろうと思いましてね…」
老人がそう言うと、黒い外套を着た人物は恥ずかしそうに老人の陰に隠れようとする。
それを見て店主はふふふと笑った。
そして店主はカウンターの向こうに座るコドモに目を向ける。