「それは、もう仲間を失いたくないからだよ」
ロディの言葉にアカは目を見開く。ロディは気にせず続けた。
「ロディたちのカテルヴァにはね、前にルベ……エリサクス ルべクラっていう仲間がいたんだ」
「でもある戦闘で死んじゃってさ」とロディは俯く。
「ルべと仲良しだったトログはすごくショックを受けちゃったし、リーダーのクリスはそのことで自分を責めるようになってしまった」
「だから」とロディは顔を上げた。
「ロディたち、アカが新しく仲間になるって聞いたとき、約束したんだ」
「ルべみたいにはしないって」とロディは笑う。アカはなにも言えずに黙り込んでいたが、それを見たモザは「まぁ、そういうことだ」とアカに歩み寄った。
「つまるところ、おいらたちはお前に死んでほしくない」
「人が死ぬのは、誰だって嫌だろ?」とモザはアカに近付き手を差し伸べる。アカは驚いたような顔をしたが、モザが「ほら」と促すとアカはその手を取った。
「さーて、こっからどうすっかね」
アカの腕をぐいと引っ張って立ち上がらせたモザは、上空のアリエヌスの群れを見上げて呟く。アリエヌスたちは他のカテルヴァの攻撃によって要塞都市への襲来を阻まれていたが、群れの中心にいる親玉アリエヌスにはどのカテルヴァのアヴェスも近付けていないようだった。