アカがモザとロディにアリエヌスの群れを倒す方策を伝えてから10分ほど。
アカはアリエヌスの群れから少し離れた場所を飛行しつつ、群れの様子を伺っていた。
『なぁアカ、ホントにこれで大丈夫なのか?』
アカの脳内に、レヴェリテルムの効果によってモザの念話が飛んでくる。
『アカが囮になってアリエヌスを引きつけてるうちに、おいらとロディたちが親玉をやっつけるって作戦だけど……アカの負担が大きすぎねぇか?』
『そうだよアカ、いくらロディたちのことを信じたって、難しいものは難しいだろうし……』
モザとともに天蓋の上からロディも念話を飛ばす。しかしアカは『大丈夫』と短く返した。
『自分は、死んだりしないから』
アカはそう自身に言い聞かせるように言うと、不意に空中で静止する。そして銃器型に変形させていたレヴェリテルム“Aurantico Equus”を上空に向け、1発だけ高出力のエネルギー弾を撃ち出した。
エネルギー弾は上空へ向けて打ち上がると、高度数百メートルほどのところで花火のように炸裂する。戦場で戦うアヴェス、そして侵攻するアリエヌスたちはそちらに気を取られた。
「……え」
天蓋上からアカの様子を見ていたロディは思わず呟く。そして、アリエヌスの群れから悲鳴が上がった。
「あ、見ろロディ!」
モザの言葉で我に返ったロディはモザが目を向ける方を見やる。モザが目を向けるアリエヌスの群れから、衛兵のように親玉を守っていたアリエヌスたちがアカの方に向かっていた。