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黑翆造物邂逅 Act 4

その数日後。
この前晴れていたのが嘘のように、外はしとしとと雨が降っている。
誰もが傘をさして歩く街中で、ビニール傘をさし荷物の入ったトートバッグを肩にかけた1人のコドモ…カシミールが歩いていた。
「…」
カシミールは静かに、足元が濡れないよう水たまりを避けながら、自身の住まいである喫茶店へと向かっていく。
細い横道を進み、角を何度も曲がってカシミールはついに喫茶店の裏口へ辿り着いた。
しかし、カシミールは裏口の前で足を止める。
…裏口の扉の傍に、黒い外套を着た人物が座り込んでいるのだ。
しかも先日、カシミールが感じた“妙な気配”もする。
カシミールは思わず呆然としてしまった。
「あ、あの…」
カシミールがつい声をかけると、相手はほんの僅かに身じろぎする。
しかしその人物は何も答えなかった。
「どうかしましたか…?」
カシミールは心配そうに尋ねると、相手は黙ってそっぽを向いた。
どうしたんだろうとカシミールは不安がる。

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