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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ -Japanese Robin- 21

「トログが助けてくれたから、不思議と力が湧いただけ」
「だから、ありがとう」とアカはこぼす。その言葉にトログは「いやいや、ボクそこまでのことしてないよ!」と手を振った。
「もう仲間を失いたくないから、ボクは助けにいっただけだし」
「だから当然のことを……」とトログは言いかけるが、アカは「ううん」と横に首を振る。
「トログや、みんなのお陰だから」
アカはそう言って立ち止まる。
「……自分も、前いた要塞都市でずっと一緒にいたアヴェスが、戦闘中に行方不明になったことがあって」
「あの子とは……コマとは、いつか要塞都市の外へ一緒に行こうって約束してたから、すごくショックだった」とアカは続ける。
「それで一緒にいてくれる相手がもういないなら、この生に意味はないって思うようになったんだ」
「でも」とアカはトログの方を見る。
「トログが、一緒に行こうって言ってくれた」
「だから、自分は、今ならどこへでも行ける気がするんだ」とアカは言う。トログは「アカ……」と呟いた。
「……トログ、自分とこれからも、一緒にいてくれる?」
アカは、不意に尋ねる。トログはちょっと驚いたような顔をして、少しの間沈黙する。

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