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黑翆造物邂逅 Act 8

そういうわけで、カシミールは先日出会った黒い外套の人物を、自身が手伝う喫茶店が入る建物の2階に上げることにした。
最初こそは嫌がっていた黒い外套の人物も、カシミールに手を引かれて大人しく居住空間に入っていく。
「お前、ホントにいいのか?」
ほとんど知らない奴を保護者に内緒で家に上げて、と黒い外套の人物は物置部屋に入って早々聞く。
カシミールは大丈夫だよ、と荷物を部屋のイスに置きつつ返した。
「うちのマスターは優しいから」
ちゃんと説明すれば怒ったりしないし、とカシミールは荷物を置いたイスの隣のイスを後ろに引く。
「…」
黒い外套の人物は黙ってカシミールが引いたイスを見ていたが、カシミールは…座ったら?と首を傾げる。
それに対し黒い外套の人物は少し困惑したように立ちすくんでいる。
しかしカシミールが立っていても疲れるでしょ?と微笑むと、渋々そのイスに座った。

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