「…なんだろう?」
かすみがそう呟いて十字路に近づこうとすると、急に十字路の真ん中に銀色の大きな魚のようななにかが現れた。
「⁈」
目と鼻の先に現れたそれに驚いて、かすみはつい動けなくなってしまう。
宙に浮く魚のようななにかは鋭い歯の並んだ口をかすみに向かって大きく開いた。
だが、それが開いた口を閉じようとした瞬間、伏せろ!という声がかすみの背後から聞こえた。
かすみが思わず我に返ってその場にしゃがみ込むと、かすみの頭上スレスレを紫色の火球が飛んでいく。
そのまま火球はかすみの目の前の魚のようなそれにぶつかり、煙を上げた。
「…?」
かすみが恐る恐る顔を上げ、後方に目を向けると黒いゴスファッションで短く黒い癖毛に黒い目、逆十字の耳飾りのコドモが、黒い短剣を構えて立っていた。