ライバル球団の胴上げを2度,それも一度は目の前で,残りのもう一回は誕生日に見せつけられたあの屈辱を忘れまいと誓って大学入試に無事合格した。入学目前の3月のある日,プロ野球開幕直前、贔屓球団に大きな激震が走った。
そう,得点源として期待して招き入れた外国人選手が2軍調整を拒否して帰国・退団したのだ。
開幕から2ヶ月間は前年日本一のライバルとの開幕戦を2勝1敗で終え,その後もその好敵手とお互いに主力選手の不調に泣かされつつ一進一退の攻防を繰り広げた。
6月の交流戦,新たに獲得した別の助っ人外国人が活躍し始め,苦しいながらも得点を重ねて接戦を勝つ試合が増えていった。
7月にトレードや更なる外国人の補強を重ねて新戦力を迎えた。
8月,まだ若い高卒2年目の選手が調整を終えて復帰していきなり決勝打となるホームラン。
9月10日からの三日間,6年ぶりの優勝がかかったチームとの首位攻防戦に全勝しその後も着実に勝ち進む。
そして運命の9月28日,俺が地元からラジオ中継で見守っていたあの試合だ。
1-1の同点から得点が重なり6-1になった頃,優勝が近づいているという実感が湧いて来た。
そして,9回にも得点を重ねて8-1になり,ここで左のリリーフが2人の左打者に勝ち,右の守護神がツーアウトから登板。
この時点で俺は勝ちを確信して興奮していたが,案の定抑えて優勝。
四年ぶりの優勝が決まった嬉しさのあまり,机に突っ伏して泣いていた。
そして,気が付いたら朝が来ていた。
今年もそんな逆転優勝を見てみたい。