そんなこんなでかすみはナツィを喫茶店に連れ戻した。
かすみたちが喫茶店を飛び出していったところに出くわした喫茶店の主人は居住スペースの居間で2人のことを心配しており、2人が戻ってくるなりなにがあったのかと質問攻めにした。
かすみはせっせと主人に事の次第を話したが、主人は一通り話を聞くと慌てて居間の固定電話をかけ出す。
その様子をかすみは居間の椅子に座って不思議そうに眺めていた。
「…ねぇナツィ」
これ、大丈夫かな…?とかすみは隣の椅子に座るナツィに話しかける。
ナツィはなにを今さらとかすみに目を向ける。
「お前がちゃんと話せば分かってくれるって言ってただろ」
「いやそうなんだけど」
ナツィの言葉にかすみは苦笑する。
「なんか、うちのマスター電話かけに行っちゃったし」
大丈夫かなって、とかすみは不安がる。
「大丈夫だろ」
どうせ俺の“保護者”のところに電話してるんだろうし、とナツィは服のポケットに両手を突っ込む。
かすみがそれって、あの會津さんって人?と尋ねると、ナツィはあぁと返す。