「俺の“保護者”…つまり使い魔としての“マスター”があの人」
まぁ形式上だけど、とナツィは続ける。
「…ずっと、貴重品として幽閉されていた俺をなんだかんだで引っ張り出してくれた」
だから、その点は感謝してるとナツィは呟いた。
「でも…」
「でも?」
不意に言い淀むナツィを見て、かすみは目をぱちくりさせる。
ナツィは下を向いてこう吐き捨てるように言った。
「ちょっと、俺に優しすぎるっていうか…」
「え、いいじゃん」
優しいなら、とかすみは続ける。
しかしナツィはかすみにちらと目を向けて、いやだってとこぼした。
「俺は人間じゃないんだし」
そもそも俺は人間のことがそんなに好きじゃないから、とナツィはかすみから目を逸らす。
かすみはふーん、と頷いた。
「…だから、俺は人間みたいに振る舞うお前が嫌だった」
不意にナツィが呟いたのを見て、かすみはそうなの?と首を傾げる。
ナツィは…そうだよ、と続けた。