0

黑翆造物邂逅 Act 22

「俺は優しくされるのが嫌いなんだよ」
ナツィはそっぽを向いたまま続ける。
「…それに、お前が人工精霊なのに俺のことをなにも知らないとかありえないと思ったし」
ナツィがそう言うと、え、そう?とかすみは首を傾げる。
ナツィはあぁそうだ、と言う。
「人工精霊の癖に俺が同族って気付かないとかアホかよ」
“気配”がしただろうに、とナツィはかすみにジト目を向ける。
「まぁ確かに、“気配”はしたけど…」
「それが魔力の“気配”って奴だ」
俺たちみたいな魔術で造られた存在ぐらいしかそれを感じ取ることができない、とナツィは椅子に座り直す。
「お前、そういうことも知らないのか」
ナツィが呆れた様子で聞くと、かすみはうんと頷く。
それを見てナツィはため息をついた。
「…ま、お前のマスターは魔術師を引退してるからな」
お前を面倒ごとに巻き込みたくなくて、魔術について色々伏せてるんだろ、とナツィは腕を組んだ。
「とにかく、俺はお前のことが気に食わなかった」
ナツィはそう言ってかすみに目を向けた。
かすみは暫く沈黙していたが、ふとあることに気付いた。

  • 黑翆造物邂逅
  • 明日でこのエピソードはおわり
レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。