世のつねの詩人にならむと思ひけり
わたしの名がときに重く感じられるほど
長い年月が経ったのですね
その間に幾度いのちを描こうとしたでしょう
幾度はらを空かせたことでしょう
せかいに傷つくたび
わたしの肉体には跡がふえた
ことばに傷つくたび
わたしのこころにはことばが芽生えた
なんの違いがありましょうか
今日もカーテンの開かない部屋のなかで
うしなった個体をならべながら
あのときの傷をことばにしている
ーー至って真顔で。
世のつねの詩人にならむと思ひけり
さればわたしはここならむかし