「いくらボクに近しい感じがするからってそこまで言わないの~」
「え~だって言いたくなったんだしー」
仕方ないだろネロ~と耀平はネロを右肘でつつき返す。
自分はいつの間にか自分の側に来ていたロヴィンを撫でつつその様子を眺めていた。
暫く2人のじゃれ合いは続いていたが、やがてぼーっとしている自分の視線に気付いたネロと耀平はパッとこちらに向き直った。
「…それでさ、ボクの折り畳み傘、どこにあるの?」
返してもらうつもりで来たんだし、とネロはこの部屋を見回す。
「あ、それなら…」
自分は慌てて立ち上がって勉強机の脇に向かう。
そして机に立てかけておいた折り畳み傘を手に取り、はい、とネロに渡した。
「ちゃんと使った後に干したから濡れてないはず」
自分がそう言って渡した傘をネロは受け取ると、ひとしきり眺めてからうん、ありがとうと呟いた。