「ネロ、もうそれ取るの諦めろよ」
通算でいくら使ったんだ?と耀平はネロに近付くと、ネロはそんなの覚えてないもんと不満げな顔で振り向く。
「覚えてないって…」
耀平が呆れたようにこぼすと、ネロはじゃー耀平がやってみてよと口を尖らせる。
耀平はえー、と嫌そうな顔をするが、それを見たネロはじゃあ黎にやらせる!とこちらを見た。
自分はえっ、と驚く。
「黎ならあのぬいぐるみを取ってもらえそうな気がするし」
だからお願い!とネロはパンッと手を合わせる。
自分はどうしたら良いのか分からず困惑するが、ネロは嫌かな?と首を傾げる。
「別に、嫌じゃ、ないけど…」
自分はついそう答えると、ネロはじゃお願い!と自分の手を引いてクレーンゲームの台の方に行かせた。
そしてネロは財布から小銭を出して台の小銭投入口に入れる。
自分はポカンとしたまま、クレーンゲームの台のレバーを動かすハメになってしまった。