「黎は十分すごいんだし」
「でも2人は…」
「ボク分かるよ!」
自分の言葉を遮るように、ネロは声を上げる。
「この間、初めて会った日の次の日に、黎の移動した痕跡をコマイヌと追いかけていたんだけどね、その時に黎の記憶をちらっと見たの」
ネロは続けた。
「そしたら黎は、1人で色んな事を頑張ってるんだなって事がよく分かって…」
ネロはそう言いかけて言葉を止める。
どうやら固まっている自分の姿に気付いたらしい。
ネロはふふっと笑った。
「だからあんまり自分を卑下しなくていいよ」
ボクだって、あんまり自慢できるような人間じゃないしとネロは微笑む。
自分はだんだん身体が熱くなるのを感じていた。
「えへへー、黎照れてる~」
「ホントだー」
ネロと耀平は赤くなる自分の姿を覗き込む。
自分は恥ずかしさのあまり手で顔を覆うが、外は暑いのになんだか余計に熱いことには変わりなかった。
〈番外編 サマーエンカウンター おわり〉