「うお…すげぇ、盾がないところも盾があるみたいな…アリエヌスが進めてない!」
ブケファルスが目をきらきらさせているのを横目に、フスは携帯を操作し、素早く状況をメールに書き込みだした。
「頑張れば広い範囲もいけるよ。まあ脳が疲れるけど……よし連絡できた」
「めっちゃ鼻血出てる!?」
慌てて何故か鼻をつまんできたブケファルスを米俵のように抱え、フスは盾で無理やり進もうとするアリエヌスたちを押し戻した。
「…あの、鼻血出てるからって鼻つまむのは…の、喉に鼻血が垂れる…」
「はっ!!ごめん!!気が動転した!!」
「だ、大丈夫…よし、じゃあここでアリエヌスたちを食い止めよう。あと、そろそろ広範囲守るの限界だから…ちょっと休ませてほしい…かも」
「任せろ!いくぞUccello balla lingua cento!」
フスが盾を引いた瞬間、ブケファルスの手から薙刀が伸びた。唐突に自分たちを阻んでいた壁がなくなったことで体勢を崩したアリエヌスたちを、すぱすぱと両断していく。
「これいいな、俺たちが交代でやっていけば耐久戦はいけるぞ!」
「そうだな…先輩がいつ来るかわからないから、できるだけ省エネで」