「た、確かにそうだけど」
自分たちが間に入ってどうこうできる状態じゃないし…とかすみは困惑したようにナツィの方を見た。
ナツィはやっとの思いで上着のポケットから出した短剣から火球を打ち出してカプリコルヌスを寄せつけまいとしていたが、カプリコルヌスはそれを易々と避けていく。
どう見ても、ナツィは追い詰められていた。
「…露夏ちゃん」
不意にかすみが露夏の名を呼んだので、ナツィが追い詰められる様子に釘付けになっていた露夏はハッと我に帰り、かすみの方を見る。
かすみは露夏の目をじっと見据えてこう言った。
「ピスケスの保護者に、電話してくれない?」
うちのマスターも全然帰ってこないし、このままナツィを放っておけない…!とかすみは露夏の手を取る。
明らかに不安がっているかすみに気付いた露夏は、お、おう!と答えて、いつもの喫茶店の中へ駆け込んでいった。