「何だか彼を見ていると、昔の自分を見ているみたいな気分になってくるんだよ」
霞さんが不意に言い出したので、わたしは目をぱちくりさせた。
霞さんは続ける。
「昔の僕もあまり慣れない人の前ではビビってる事が多かったからさ」
あんまり友達がいなくて…と霞さんは頭をかく。
「でも耀平くんに出会って、少し変われたんだ」
霞さんはふふと笑った。
「耀平くんは昔から明るくて、何だかこんな僕にもよくしてくれて、すごく嬉しかった」
だから僕も、人が怖くなくなっていったんだろうね、と霞さんは微笑む。
わたしや師郎は黙ってそれを聞き、隣のベンチにすわるネロと耀平も静かにこちらを見ていた。
「ま、そういう訳で、僕は変われたんだ」
霞さんは笑う。
わたし達はそんな霞さんの様子を見ているばかりだったが、やがて彼はさて!と手を叩いた。