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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 23.オウリュウ ⑰

「まさか…」
周囲が思うように見えず混乱する中、不意にわたしの耳に、みんな!と霞さんが叫ぶ声が響く。
「僕が彼女の視界を封じている内に、早く逃げて!」
霞さんの言葉に、わたしは、えっまさか…と呟いた。
霞さんはそのまま続ける。
「僕の異能力は”一定範囲内の視界を霞ませる”能力だから、下手に移動すればあのヴァンピレスって子の視界が封じられなくなる‼」
だから、僕を置いて逃げて!と霞さんは叫ぶ。
わたしは思わぬ発言に困惑する中、置いていくなんて!と耀平の叫び声が聞こえた。
「そんなのできない‼」
耀平がそう抵抗すると、霞さんの、ごめん耀平くんという悲しげな声が続く。
「今日は会えて嬉しかった」
久々に大事な君に会って、君の仲間達にも出会えた…と霞さんは呟く。
「でも君や、皆を、誰かに傷つけさせる訳にはいかない‼」
だから逃げて!と霞さんは叫んだ。
その言葉に、耀平は押し黙る。
しかしそれに対し…そんなのダメと黎の声が聞こえた。

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