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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 23.オウリュウ ⑱

「お前が傷ついたら、耀平もきっと傷つく」
だから自分を犠牲にしないで、と黎は続ける。
「でも、それじゃ…」
「大丈夫、自分がなんとかする」
だから協力して、と黎は霞さんに声をかけた。
霞さんは暫くの間、考え込むように沈黙していたが、やがてうん、分かったと言う。
「…じゃあ、異能力を解除して」
黎の言葉に耀平はえっ、と驚いた。
「それじゃおれ達は…」
「いいからお願い!」
霞‼と黎が声を上げた時、分かった‼と霞さんの声がこだました。
その途端、あたりのもやがなくなり元のように路地裏が現れる。
さっきのように周囲を見ることができるようになったヴァンピレスは、いつの間にか出していた具象体の白い鞭を振るおうとした。
しかし、そんな彼女に向かって中身が入った状態のペットボトルが真っ直ぐに飛んできて、ヴァンピレスの額に直撃する。
「あうっ」
ヴァンピレスはそううめくと、額を手で押さえながらその場にしゃがみ込んだ。

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