「でも、そもそもなんでアイツはこの手の服の店をわざわざ選んだんだろうなって」
露夏がそうこぼすと、ピスケスは…そうね、と呟く。
「アイツにとっては、こういうのには思い入れがあるから…」
ピスケスはそう言いかけるが、その途中であっ!と驚いたような声を上げるキヲンに遮られる。
ピスケスと露夏が試着室に目を向けると、ちょうどカーテンのが開いて深緑色のフリルやリボンの多いワンピースを着たかすみが姿を現した。
「わー、かすみかわいい!」
キヲンは思わずかすみの姿を見てはしゃぐが、不意にナツィがぴくりと反応する。
それに気づいた露夏は慌ててキヲンを物陰の死角に引き込み、その口を塞いだ。
「…」
後方にある洋服の陳列台の方を振り向いたナツィは不思議そうな顔をする。
そんなナツィの様子を見て、かすみはナツィ?と呼びかけた。
「どうかしたの?」
首を傾げるかすみの声に、ナツィはいや、と首を横に振る。
「なんでもない」
そう言ってナツィはかすみの方に目を向けた。